出会い -2014.10-


サビ猫と出会う数日前,2014年10月のある日の夕刻,
帰宅してきたうちの人が外でおばさんと話してる話し声が聞こえてきた.
窓からのぞくと,電信柱の横でおばさんと話すうちの人.
その後もご飯ができてるのになかなか帰ってこなかった.
これこそ,後になってものすごくお世話になってしまうおばさんとの出会いだった.

さて,その数日後,それは2014年10月15日前後だったと思う.

私は9月末で学位取得したけど悶々とした日々を過ごし,
科研費申請の締め切りが迫ってたけどイマイチ真剣になれず,
研究者としてやっていくのかどうか,悩みに悩んでる時期だった.
悩みすぎて帯状疱疹を発症して,何度も皮膚に違和感を覚えては治まり・・・

そんなある日の夕刻,
私はまだ次の研究室での勤務が始まっていなかったので,早く帰宅.
その日はたまたま,うちの人も既に帰宅してた.
まだ外は十分に明るい時間だった.
うちの鍵を開けて中に入ろうとすると,背後から,

「にゃおーーーーん!にゃおん,にゃおん!」

と猫が呼ぶ声.振り返ると,前の家の空調の室外機の上に黒っぽい猫が乗ってこっちを見てた.

このあたりは,斜め前の家に2匹の三毛猫が外飼い,
10件ほど先の家にも茶トラママと白黒ブサイクの2匹が外飼いされてたりして,
比較的猫は頻繁に見かけるんだけど,この子は見たことがない子だった.

あらま,声がかわいい.どっか行っちゃわないうちにうちの人を呼ばないと!!
そう思って,急いでうちに入って,うちの人に

「外でちっちゃい猫が呼んでるよ!!」

って声かけて,二人で出て行った.
小柄なきちゃない柄の猫.これサビ柄だ.ちっちゃいね,ちっちゃいけどもう子供じゃないね,かわいいね,声がかわいいよね・・・・そんなことを言ってたんだと思う.

そうすると,そこに,先日のおばさんが登場.

「この子ね,ちっちゃくてかわいいでしょう.ちょっと前からこのあたりに来るようになったのよ.向こうの畑の方に住んでるみたいよ.みーちゃん,みーちゃん,みー,みー,おいで.」

と電信柱の下にご飯を置いた.
うちは23区内だけど,今も生産緑地が残ってて,
今でも農家で生計を立てているお宅が結構あるエリア.
一方通行の通り2本隔てて向こうに畑があるのだ.
猫ならほぼ直線で行けるだろうから,数十メートル程度の距離.

へぇー..確かにあっち側も猫を見かけることがあるなぁ・・・と.

そこにさらに,斜め前の家の三毛x2匹の飼い主のおじさんが三毛たちにご飯をあげるために出てきたので,おばさんと,おじさんと,うちらの4人でしばし猫談義.

「この若夫婦(我々w)ね,ここに住んでらして,猫が大好きなんですって.お宅の猫ちゃんたちもかわいいわね.」

と,おばさん.本当に猫が好きらしくて猫好きを見つけたのが嬉しいらしい.

おじさん曰く,おじさん宅の三毛x2匹は兄弟姉妹で,
他の兄弟たちとともにうちの前に捨てられてて,
他の子たちは家の中で過ごしたがるのに,
この2匹だけは外に出たがるので外飼いなんです.と.

 いつも家の敷地内で縄張り監視してる三毛.

一方,おばさんの方は, 猫が大好きでこの辺りにいる野良ちゃんに
ご飯をあげて歩いてるんだとか,裏のなんとかさんの家には猫が10匹いるだとか
そんな話をした.

我々の方は,私は,2012年の9月に20年生きた猫を,
うちの人は,2013年の3月にそれぞれ猫を亡くしていて,
二人とも猫欠乏症に陥っていたので,本当に猫たちがかわいくて猫の話が楽しかった.
そして,ご近所さんに猫好きが多いのに驚いたりした.

そうこうしてると,サビ猫は居なくなった.

「明日も来るかなぁ.来たらいいのにね.」

でも野良だしわかんないよね, まだ若いのかなぁ,かわいかったね.そんな話をしながら出会いの日が終わった.これがサビ猫と,おばさんとの出会いだった.



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