変化


「変化」


といってもみゅーちゃんの体調のことではなく、人間のことですね。


2年間取り組んだ課題に、大した業績も残せず、プロジェクトが終了するとともに私も終了ということで、研究を離れることにしました。うん、これが最良の選択だ、仕方ない、夢を追ってばかりはおれんし、現実を見て、もとの業界に戻るなりなんなりして働きましょう。 そう思っていた夏でした。


縁というのは不思議なもので、今まで会ったこともない人がなぜか私のことを知っていて、たまたま大規模プロジェクトが始まるのでこっち来ない?ってお誘いをいただき、あれよあれよという間に今のポストに着任。


あれ?研究、辞めるはずだったのに・・・


というわけで、秋に着任してはじめの1ヶ月はそうでもなかったんだけど、徐々に仕事がブーストしてきまして忙しくなりました。ありがたいことだ。実にありがたいことだ。周りへの感謝を忘れず、やり残した仕事も今年中には仕上げたい。


そんななか、みゅーちゃんの療法食が切れたので動物病院までふらっと買いに行きました。いつものかわいい女医先生。から突然のお知らせ。「12月いっぱいで辞めることになりましてー」と。


えーーーーーー・・・


すごく切ない。なんだかすごく切ない。切ない理由はわからないんだけど、なんだろう。あの先生だったからみゅーちゃんは病院嫌いにならずに済んだように思っていたし、さすが獣医になるまで勉強しただけあって(当たり前だけど)賢いし、一方で、客商売って側面もあってとても穏やかな口調でありながらもちゃんと数字を示して論理的に話してくれる信頼できる先生だったのでとても安心してみゅーのことはまかせっきりにしていたのですわ。それが、その先生が居なくなっちゃうなんてーー!!



他の先生も優しいしちゃんとしてるんだけど、なんだかみゅーちゃんとの相性的に、とてもよい感じがしていて、、、とても残念なのだ!!!一度、みゅーちゃんが先生の腕の中に居たことがあって、まんざらでもない顔していたのよねぇ。。。 それがとっても印象に残って、あ、この先生にずっとお願いしよう!って思ったんだけど。さてどうしましょう。


帰って早速、みゅー子に伝えるも、伝わったのかどうか・・・


 みゅーちゃん、別の先生と頑張らないといけないかもしれないねぇ。次に行ったら、またあの先生がいて、「辞めるのやめました。笑」なんてことがあったらいいんだけど・・・


ずっと思っていたのは、みゅーちゃんの病名を確定させるかどうかなんだけど、遺伝病だとしたら遺伝子検査をしないといけないんだろうし、そういうことをお願いするかどうかなのよねぇ。それをいつか、あの先生にご相談しようと思っていたんだけど、もう少し早く考えておけばよかったかなぁ。

この多発性嚢胞腎では、遺伝子診断が利用可能です。調べるために必要な材料は、獣医師が容易に採取でき、遺伝子診断をしている専門の研究所へ送付すれば診断できます。 子猫では、エコーで腎嚢胞が確実になるのは10ヶ月齢からですが、遺伝子診断では10ヶ月齢以前でも調べることができます。 何歳のネコでも、頬粘膜もしくは血液を用いて遺伝子診断を受けることができます (ただし、離乳前の子猫が遺伝子診断を受ける場合、母ネコの遺伝子がミルクに混じっているため、頬粘膜ではなく血液を用います)。 超音波検査やCT検査で腎臓に嚢胞が見つかった場合、原因が多発性嚢胞腎によるものなのかどうか、 この遺伝子診断をすることで確定・鑑別診断することができます。 岩手大学付属動物病院



それから、私の心にずっと残っているのがここ。

飼い主さまへのお願い
ネコ多発性嚢胞腎症の原因については、PKD1遺伝子変異の情報以外はほとんど解明されていないのが現状であり、有効な根治的な治療法もありません。
そのために、多発性嚢胞腎症に対する新しい治療法を開発するために病気の原因についてもっと知る必要があります。 現在、内科診療科では、治療法を見つけたいとの強い思いから、多発性嚢胞腎の病態解明に力を注いでおります。 しかし、そのためには多発性嚢胞腎症になったネコちゃんの腎臓における病理検査が必要なのです。 長年家族の一員であったわが子を送り出すことは大変つらいことではありますが、今現在、多発性嚢胞腎症と闘っている他の多くの子達のためにぜひご協力をお願い申し上げる次第です。 闘病を終えたネコちゃんの嚢胞を形成した腎臓や肝臓をご提供してくださる方は当院までご連絡くださいますよう何卒お願い申し上げます。
岩手大学付属動物病院


私も高校の時には獣医さんに憧れ、今は研究者の端くれ。このようなお願いを見ると、何かするべきかなと思ってしまうのです。一方で、みゅーちゃんは実験道具ではないので、新薬なんかのテストには否定的なんだけど、でも、亡くなった後ならばと思うわけです。そんなことも相談したかったんだけどなー。どうしようかな。。 


あんないい先生だから、獣医さんを続けて欲しいなぁと思う反面、獣医であれ研究員であれ企業勤務であれ、まだまだ働く女性に厳しい社会だし、人にはそれぞれの事情があるわけだから、簡単に「続けてね」なんて言ってはいけないよね。人生はひとそれぞれなのだ。


皆の人生が、猫生が、良い方向に変化していきますように。




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